人生を楽しめている人は仕事も面白い。自分に合った仕事に就けるまで転職を繰り返し、「自分に合った仕事」に出会えて、生き生きしている人も少なくない。また、「これは俺の天職」といえる幸運な人もかなりいる。いつ天職と出合えたか、を尋ねられても答えにくい質問の一つである。私がこの本を書くきっかけになったのが、60歳を過ぎたころから、大学を卒業して以来、約38年間、続けてきた書く仕事(ジャーナリスト)を「天職」と思えるようになった。自画自賛的な言い方になるが、書き続ける人生が私の仕事であり、自分の人生が終わるまで、書き続けていきたいと心の底から思えるようになっている。そういう意味から私は書く仕事を「天職」と自信をもって言えるようになっている。仕事の内容とか、業績とか、影響力とか、実績を誇っているわけではない。また、たとえ、さほどの実績がなくても、己自身が明確に言えることは、「私の天職は書き続ける仕事である」ということである。最近の問題意識の中に、「仕事ってなんだ!」ということに興味を持つようになり、どうすれば、楽しい仕事に出会えるのか、どんな仕事が適しているのか、仕事の上手な選択は何か、“仕事”に関することに好奇心が旺盛になっていく自分に気づいたことである。私は悟ったわけでもなく、ただ、自信をもって「自分の仕事は書く人」という天職を実感していることだけは事実である。これについて少し書いてみようというのが、本執筆の動機であり、挑んだテーマでもある。浅学非才な自分だが、約48年間、ジャーナリストとして書き続けている事実を少しまとめてみるのも楽しいのではないか、ということである。執筆が終わり、仕事哲学、仕事の本質、天職、転職など、自分が考えた仕事観は山に例えれば、まだ1合目に過ぎないというのが実感である。これからも、タイトルは別にしても、仕事に関連したことを書き続けていく覚悟はできている。そうでなければ、自分の天職について書く資格はない、とも思う。「楽しくなければ仕事ではない」「天職といえなくても仕事を楽しみたい」「生涯を通して、天職を探し続けていきたい」といったように、一人ひとりが仕事観を持っているものだ。いま価値観の多様化時代、人それぞれの時代だけに、仕事観もそれぞれが当たり前である。仕事観についての書き始めが、今回の本と捉えている。